2014年3月20日木曜日

高度に発達した屁理屈は……

SF作家であるアーサー・C・クラーク氏の「クラークの三法則」に 「高度に発達した科学は魔法と区別がつかない(十分に発達した科学技術は魔法と区別がつかない)」 という格言を、ネット上でネタとして時々見かける。

これを真似すると、「高度に発達した屁理屈は、妄想との区別がつかない」ということになるのか。

ただ、これを正しく言えば、「妄想とは、高度に練り上げられた屁理屈である」だね。



Moody Pirate / goodnight_photography



統合失調症の患者さんの妄想は、どうやって生み出されるか?

思考障害も、統合失調症の重要な症状の一つになる。
患者さんは、何かにつけて、自分なりに一生懸命筋道を立てて考える。でも、思考障害という症状のために、「正しい」理屈ではなくて、「ずれたり、飛躍したり、どこかおかしな」屁理屈が積み上がっていくことになる。その結果、「事実とは異なる、おかしな内容」を話してくる。周りの人は、これを「妄想」と判断することになる。

患者さんを治療していくと、この「論理のずれや飛躍」の幅が狭くなっていくように思える時がある。特に、薬物療法が有効な時が多くて、自分なりの治療効果の指標にすることも、しばしば。
この指標は、薬の調節や患者さんの状態を把握するのに、とても役に立つ。

だから、治療の中で、「おかしな話をしている」=「妄想がある」というところで、思考を止めてはいけない。「◯◯という妄想がある」とカルテに書いたところで、満足してはいけない。

その妄想が生み出されるには、「どれくらい思考が障害されているのか」というところまで考えることが重要
その作業で、病状の見立ての精度が上がることになる。そして、結果として、治療の精度が上がることになるはず。
自分は、そう考えている。


Thinking / Creative Ignition



2014年3月7日金曜日

症状日記を書く人に指導していること


病理医ヤンデル先生が、ハリソン内科学という教科書を読みながら、分かりやすく解説してるツイキャス。
次のリンクは、そのツイキャスで、「頭痛」をテーマにした第3回(注:画像にリンクは貼っていません)

11番札所「頭痛(3)」 - ツイキャス:
'via Blog this'



35分あたりで出てくる、上手に治療を進めていくために「頭痛日記」が有効という話。
(一応、時間を示していますが、最初から聞いても損はないし、その方が話は分かりやすいはず)

不眠でも、頭痛でも、自分の症状を日記のように書きとめるというのは、治療に役立つことが多い。
但し、同じ書くのなら上手な書き方もあるんじゃないかと。



229-365 (Year 6) Diary / ♔ Georgie R


日記の書き方については、それぞれの主治医で重視するポイントがあると思うので、よく相談してみるのが良いかも

自分がポイントに置く日記の書き方は、客観的な情報と主観的な情報を分離して記録しておくという点。

一番わかり易い客観的な情報というのは、日付や時間。
それ以外にも、症状が起こった時の状況。例えば、”部屋でゆっくりしていた”、”買い物をしていた”、”家族と◯◯について話をしていた途中”といったもの。

主観的な情報というのは、その時の気分とか、その時に感じていた症状の程度になる。こちらは、”ものすごく不快だった”とか、”なんとか我慢できる程度”といった感じでいい。
それでも、書くのが難しければ、自分なりの点数をつけるのでも可。
不眠だったら、”ぐっすり寝れたので100点”、”起きた時に、しんどかったので60点”、”寝た気がしなくて、20点”とか。
点数の付け方は、テキトーでいい。だって、”主観”だから。他人にどう思われようとも、自分がそう感じたんだから、それが正しい。

最初は、客観的な情報を書くことを心がけるようにするくらいの感じで良い。主観と客観の使い分けは、考え始めると切りがないので。

それよりも、気軽に書ける方が大切。なぜなら、症状日記を使う時の、最大のハードルは「自分の症状を記録する習慣をつける」ことだったりする。実は、このハードルは、思った以上に高い。

このブログを見ている人には、ピンとこないかもしれない。
それは、これを読んでいるあなたは、「既にTwitterなどのSNSを使って、日常の出来事や考えたことを記録する習慣が付いている人」であって、このハードルをクリアしている可能性が高いからです。
念の為に言っておくけれど、症状日記にTwitterやオープンなSNSを使うことは、あまりお勧めしない。自分の症状をワールド・ワイドに広めることのメリットって、自分はあまり思いつかない。


twitter / hankenstein



この手の日記の効果は、おそらくアウトプットの量に比例するはず。だから、継続することが大事。
1週間程度の記録では、効果を感じることは、あまり期待しないほうが楽。
「量が質に転化する」法則が当てはまると思うので、それなりの蓄積が必要じゃないかと


実にザックリとした説明になりましたが、自分が考えるポイントの一端は、こんな所になります。

いつものように、こういうところに気をつけた方がいい、こういったやり方があるという異論は、山のように認めます。(特に、認知行動療法の専門家の人)

いずれにせよ、いろいろな人の、色々な工夫が、目にとまるようになれば良いなぁと思っています。