2013年10月30日水曜日

上手く薬を減らすことができるのには、理由がある

薬は減らせない - 精神科医の本音日記:

'via Blog this'

上のリンク先のブログを読んで、ちょっと考えてみた。

そんなに投薬量が多いつもりもないし、多剤併用の薬物療法の患者さんの減薬をしたがる精神科医のつもり。

でも、このブログ記事に書かれている通り、統合失調症の患者さんに投薬されている向精神薬を減量する時は、慎重にならざるを得ない



Medical Drugs for Pharmacy Health Shop of Medicine / epSos.de


統合失調症の薬物療法。向精神薬の内容を決めていく時には、患者さん自身が自分の病気をどれくらい理解しているか。その理解の程度が、けっこう重要なポイントになる



少なからずいる病名を告知されていないケース。自身の病気(病名)を受け入れができていないケース。こういった場合、どうしても投与量が多くなりがち。
自分自身で症状をコントロールするところを、薬に頼る(?)ことになるから。

例えば、幻聴。
「自分がそう思っていないことでも声として聞こえてくるのが、この病気。だから、そういう時にはゆっくり休もう」と思う患者さん。
「人の声が聞えるのが嫌なので、消えるように薬をください」と言う患者さん。
ザックリとした例え方だけれど、この二人の患者さんでは、薬の量が違ってくるのはわかるよね。

病状を理解した上で、治療の目標をどこに置くか。それによって、薬物療法の内容も変わってくる



Explanation / QuinnDombrowski



理解と目標設定の話し合い。この手順が不十分のまま、向精神薬の投与量だけを考えても、上手くいかないことが多くなると思うんだけどね。






2013年10月23日水曜日

語りたくなるけれど、「面白い仕事」の話は難しい



業界あるあるネタであったとしても、ネットで発言する限りは、オープンな発信になる。
例えクローズドな環境で発言していたとしても、ネットという媒体を使うからには、何時でもオープンなものになるという危険性(?)を孕んでいる。
このあたりが難しいところ。



2013 Policy Talks at the Ford School lecture by Helene Gayle, president and CEO of CARE USA / University of Michigan's Ford School



ここ最近、Twitterでのツイートが激減していた日が何日かあった。
イレギュラーな仕事が入ったから、という単純な理由。
ただ、そういったイレギュラーな仕事で忙しかったということだけで、ツイートが減ったわけではない。
こういったイレギュラーの仕事って、仕事としては「面白くて、やりがいのある」仕事であることが多いん。ただ、その「面白さ」の取り扱いは注意が必要なので、ツイートは自粛していた。自信がなかったから

「面白くて、やりがいのある仕事」に関してツイートしたとする。
多分、医療関係者のアカウントからは、”あるある”ネタとして解釈してくれたり、「精神科医って、そんな風に考えるんですね」みたいなリアクションが返ってきたりすると思う。
それは普段のツイートのリアクションから十分に予想できる。
ただ、逆に、「こんなツイートは不快だ」と感じるアカウントが一定数でてくることも想定される。特に、医療関係者以外。

この状況を考えると、「面白い仕事の内容」は、うかつにつぶやくわけにはいかない。面白ければ、面白いほど不快に感じる人が多くなる可能性が高くなるから。
不快に感じる人を不必要に増やすのは、本意ではない。



Brent Burns – Customer Retention Presentation – photo 12 / James Jordan


とはいえ、自分の仕事の「面白さ」を発信したいなぁという気持ちがあることは変わらない
そうじゃなきゃ、Twitterとかブログとか、いろいろとやったりはしない。
仕事で感じた「面白さ」は、オープンなものとして発信することに耐えられるように、加工する。この加工作業ををサボってはいけない。

自分の感じたものを加工して発信する能力は、これからの時代、いろいろと問われるんだろうな。

自分の加工能力は、まだまだ力不足。それは、いつも痛感している。

やれやれ。
頑張らなければ。



追記

このブログを書いていて思い出したのは、ヤンデル先生Facebookページの過去記事。

『戦う○○』を自称する人間の戦いは主に舌禍による争いである

この記事の内容は、折に触れて思い出すようにしている。それくらい、大事な内容。お勧めの記事である。





2013年10月16日水曜日

アルツハイマー型認知症の「とりつくろい」

アルツハイマー型認知症の患者さん。会話の中での「とりつくろい」が、症状のポイントの一つ。
実際に患者さんと会話している様子を見せた後、「あのやりとりが、とりつくろいだね」って説明すると、すぐに理解してもらい易い。
でも、言葉で説明しようとすると、案外難しい。

アルツハイマー型認知症の「とりつくろい」って、”底の浅い否認”や”単純な誤魔化”とは違っている。
病識のない記憶障害に基づいた、独特の”誤魔化し”といえば良いのか……

「とりつくろい」は、その人の元々のパーソナリテイに修飾される

同じ「とりつくろい」でも、”微笑ましい”ものもあれば、時には”いけすかない”ものもあって、本当に面白い。



"Pensionati" are the smile of Mattinata's streets / StoryTravelers


自分がアルツハイマーになったとしたら……、きっと洒落にならない「とりつくろい」連発するはず…… orz

2013年10月14日月曜日

非定型抗精神病薬の治療で目指すこと

非定型抗精神病薬を使った統合失調症の薬物療法。
一番の肝は、本人に病識を持ってもらうこと
そこを怠ると、薬物療法もグタグタになるリスクが高くなる。

抗精神病薬で、「幻聴をなくす」ことではなく、「症状があっても、患者さん自身で生活を上手くコントロールできるようになる」ことを狙う。

確かに、薬物療法によって”幻聴などの症状が消えました”と話される患者さんもいる。
でも、全ての患者さんに「嫌な症状が消える」ことをゴールを設定してしまうと、薬物の量が増えてしまうという落とし穴に陥りがちになる。

統合失調症である患者さん自身が、「生活の質がより高くなる方法としての治療」という意識になってくれると、”お互いに”治療が”楽”になりやすい。

「まったく症状がなくなって、以前のような自分に戻るための治療」を追い求めがちになるんだけどね。



Old McGraw-Hill Gang / harbortrees



非定型抗精神病薬は、定型……に比べて、魔法のように病気を改善してくれる薬と勘違いすると失敗しやすい。
あくまでも、従来の薬に比べて副作用が発現しにくい薬として捉えることが大切。

などと、ロートル、老害になりつつある、場末の精神科医の意見でした。
多分、医者によって色々な考え方、もっと上手いやり方があるはず。知りたい人は、自分で確認をしていくように。悪しからず。 




(追記)
「統合失調症がやってきた」では、ハウス加賀谷氏が、ある薬で副作用が改善したエピソードが書かれている。
本の中でも述べられているが、薬の効果には個人差があるので、そこは注意が必要。



2013年10月9日水曜日

Twitterで、愚痴ゼロデーを実行してみるという話



いつものヤンデル先生のツイートからの話で、申し訳ない。

これって、やってみようと思うと案外難しいルール

でも、見ていて面白いと思えるアカウントは、このルールで基本的に運用されていることが多い。特に、いわゆる公式/広報アカウントは、その傾向が強い。

個人アカウントでも、ヤンデル先生のつぶやきのように、無理矢理にでもいい愚痴をゼロにした、楽しい内容で、100ツイートくらいしてみると面白い。きっと、良い修行になる



smile is universal / jessleecuizon



修行が終わった後、いつものように、ルールから外れた”楽しくない内容”をツイートを一つしてみるといいだろう。
多分、以前よりも多くのアカウントに届いて、反応も多いはず。

いや、そのツイート自体を見なおしてみることをお勧めする。
きっと”楽しくない内容”であるはずのツイートは、以前とは違った雰囲気のツイートになっている可能性が高い。不思議なことに。
これは、とっても面白い体験だと思う。

まぁ、自分も実際には、やったこと無いから、本当にこうなるかどうか、保証しないけどね :-p

そして、これは”決して、愚痴とか、悪口とかを考えないようにしよう”ということではない。
そういった気持ちになるのは、人として(半ば)当たり前で、しかたがない。
でも、多くの人との交流がある場での振る舞いを気をつけてみようという話
そう、解釈している。

ネットでよく出てくるマザー・テレサの言葉(?)じゃないけれど、つぶやきをコントロールすることで、自分の考え方も変わってくる
そういうこともあると思う。



ちなみに、マザー・テレサの言葉は以下のとおり。(ただし、ネットでよく見かける文章で、真偽は確かめていないので、そのつもりで)

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。



Mother Teresa / mrsdkrebs

世の中、ルール通りに話が進むことって無いよね




というツイートをみて、リンク先のいわゆる”まとめサイト”も、ちらっと読んで確認。
新型鬱病の症状ワロタwwwwwwwwwwwwwww:ハムスター速報: 'via Blog this'

先日も、このリンク先を見たと思われる「新型うつ病」絡みのツイートを見かけた。
ということで、「新型うつ病」に対する自分の考え方を、Twitterでつぶやいたので、こちらにも書いておく。


2008 Write-On Materials / Desiree N. Williams



流石に、カルテに「新型うつ病」と書いた記憶は無い

確かに、
「うつ病」とは診断しがたく、
「適応障害」にすると安易な判断に思えたり。
かといって、「病気ではありません」と突き放すのも適切とも思えない。
どこに、落とし所をつけるか、迷うケースは時々ある。


「いろいろあるけれど、まぁ、俺の判断に任せておけ」という治療の居場所が無くなっている

操作的診断基準による診断と、そこから導き出される治療方針という流れを意識し過ぎると、基準にピッタリと当てはまらない状況に、落とし所が見つけにくくなる。
そんなモヤモヤとしたケースに落とし所をつけようとして、でも、操作的診断基準の文脈に判断が引っ張られた結果、「新型うつ病」みたいなモノが生まれたような気がする。

蛇足になるが、「非定型うつ病」の存在も、話をややこしくしたと思ってる。