2013年1月7日月曜日

単なる杞憂であればいいんだけれど


TwitterのTLを見ていると、「認知行動療法」という言葉も、便利に使われ始めたような気がする。こういう状況を、キャズムを超えたって言うのかしらん。
(まぁ、自分も「認知行動療法」という言葉をよく使っていますけど……)

なんとなく、「うつ病は、心のカゼ」、「最近、新型うつ病が問題になっています」、「うつ病と診断をされていても、双極性感情障害の可能性があります」等のフレーズの広がり方と似たようなものを感じる。



心配なのは、一般の人が「認知行動療法」について勘違いをしてしまうこと。

いわゆる「認知行動療法」の中には、いろいろな(精神)療法のエッセンスが含まれている。「認知行動療法」という名前の「これまでの治療とは、全く異なる新しい」治療方法というわけではない。過度な期待は禁物だし、その名前を付けずに必要なエッセンスを取り入れた治療もある。




例えばの話。
それなりに臨床力のある治療者は、いろいろな形で、患者さんの「認知」や「感情」などについて、上手く取り上げて、指導をするような治療をしていることは少なくない。この場合、治療的な内容としては、「認知行動療法」のエッセンスを上手く取り入れているわけだ。

だが、治療を受けている患者さんが、「先生が、私にしている治療のやり方は、『認知行動療法』ですか?」と質問した場合、「いいえ、(認知行動療法の専門の先生が定義したやり方ではないので)それとは、違いますね」と答えてしまうケースは、あり得ると思う。
(ちなみに、保険点数が算定される「認知行動療法」は、治療方法がかなり限定された形でないと認められない。それと違うやり方での治療は「認知行動療法」と説明しにくいし、点数もとれない)

さて、この答えを聞いて、「自分は、認知行動療法という有効な治療法を受けていない。だから、よくならないんだ」と、患者さんが勘違いしたとしても、おかしくないと思う。

「認知行動療法」に対する認識が曖昧なまま広がっていくと、こういったトラブルやリスクが増えてきそうな気がするんだけれど。
どうなんだろうか?
杞憂であれば、いいんだけれど。


ちなみに、この本は、認知行動療法の教科書と考えてもいいんじゃないかと思っています。