2012年4月24日火曜日

「こんなことで病院に来なくても」と言ってみる



初診の患者さんの診察で、一番注目するポイントは、患者さんの主訴。
そして、もう一つ気をつけていることがある。
それは、用紙に書かれてある主訴を読んだ時に自分の中に起こる感情にも気をつけること
なぜなら、その感情に対して正反対の立ち位置で考え始めることが大切だと思っているから。


共感できそうな主訴の時には、あえて「こんなことで、病院に来なくたっていいじゃない」と口に出して言ってみてから考える。
逆に、共感しにくい主訴の時には、「この患者のことは、自分にしか理解できないんだよね」と言うところから考える。
この時には、実際に声に出すことが大切
実際の行動を取ることで、頭の中の立ち位置が定まりやすいから。

そして、予診全体を見直してから、実際に診察に入っていく。




(Too much) Thinking / the Italian voice




こういった手順を踏んで診察をする。
そうすると、診察をすすめるにつれて、自然と患者さんのことを考える立ち位置が変化していく

それがいいんだよね。

立ち位置の変化によって、相手に対する視点も変化して、色々な解釈ができてくる。
それは、治療の幅が広がることにつながる
自分は、そう信じている。




時々、予診を取ってくれたスタッフの目の前で、意識的な軽口を聞かれてしまうことがありますが……

まぁ、今日もそれで怒られましたが、それが何か…… orz

2012年4月19日木曜日

これは「思いやり」があふれる映画だよ : 映画「トライアングル」 ネタバレ気味注意



DVDが出てから、間がないので、あまり細かい内容やネタは自粛。

いや、久しぶりに面白い映画でした。 「トライアングル」(リンク先は、公式サイト)





絶対にもう一度見直したくなる映画。少なくとも、最初の10分は、必ず見直したくなります。
間違いない。





この面白さの秘密は、「監督の思いやり」である。

この作品は、徹底的に見る側のことを考えている

宣伝のポスターや予告編を見ると、「これって、ネタバレじゃない?」と思ってしまう。実際ネットで検索すると、そう思っている人もいる。
心配ない。
そう思われることも、計算済みです。

自分も映画を見ている途中で、
「なるほどね。こういう展開にしたのね?でも、それって、構成ミスしてない?」
なんて、偉そうなことを思ってました。
ええ、見事に裏切られましたが、それが何か?

もしかしたら、最期まで見終わっても、「いや、あのシーンは、おかしいんじゃない?」という思ってしまうかもしれない。
そう思う人に対して、あえて言おう。
「悪いけど、分かっていないだけだと思うよ。もう一回見なおしてね」


それくらい、観客の視点、思考を考えたうえで、細部に配慮している作品です。
この配慮を一言で言えば、「監督の思いやり」です。

あまりメジャーな作品ではありませんが、自信を持っておすすめできる映画です。




下のリンクは、この映画を楽しむ上での伏線となる作品です。参考までに。
(このあたりが、ややネタバレになりますかね)





2012年4月16日月曜日

統合失調症の症状って何ですか?



「統合失調症の症状って、何ですか?」と問われれば、
私は「連合弛緩、感情鈍麻、自閉、両価性」と答えたい。

つまり、ブロイラーの4Aとまとめられる、ブロイラーの基本症状
これが大切なんだよね。

この4つの症状をみると、意外に感じる人がいると思う。
「幻聴」とか、「妄想」とか、「幻覚」といった、おなじみの言葉が見当たらないから。

でも、統合失調症じゃないだろうかと考える時、ブロイラーの基本症状を考える中心に据えて欲しいなぁ。


「幻覚」や「妄想」という言葉、ましてや、「幻覚妄想状態」と一括りにした言葉で考えていくのは、やめたほうがいい。
患者さんの状態を見失いやすくなるから。



Lost-in-Lomo / Joel Bedford



「先生。うちの会社の○○○○は、幻覚妄想状態に効果があります。この対談でも、○○先生がそう言っています。統合失調症の患者さんに使ってみてください。よろしくお願いします」
製薬会社の人などは、平気で、そんなことを言って、抗精神病薬の宣伝にやってくる。

「総合感冒薬は解熱作用があります。熱がある人には、積極的に使って下さい」
と同じように聞こえるのは、気のせいかしらん。

疾患の大切なところを考えないで、末梢的な話に終始しかねない怖さがあるんですよね。



それでも、統合失調症の基本症状として、「幻覚」、「妄想」という言葉がないと落ち着かなければ、シュナイダーの一級症状があります。
こっちの方は、「話しかけと応答形式の幻聴」「妄想知覚」などの項目があるから、まだ受け入れやすいかも。